◆各種SaaSがGPTベースのAI機能を提供開始
OpenAIがChatGPTのAPIを公開以来、さまざまなサービスにAIを組み入れ、活用しようとし始めました。コミュニケーションツールや、ドキュメンテーションツールなど、文字や文章に関わるツールであれば、全てに少なからず影響があるのがAIのすごいところでもあります。
始めは先進的なサービスでのAI活用が目立ちましたが、ここにきて保守的とも言えるツールにもAIが組み込まれるようになってきました。最近発表があったのは次のツールです。
Box:ドキュメントの要約、議事録からToDoリスト抽出、競合分析
Box AI コンテンツの価値を最大化 https://www.box.com/ja-jp/ai
Slack:未読スレッドの要約、相手ごとのメッセージ提案
Introducing Slack GPT, the future of AI in Slack
https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/introducing-slack-gpt
Zoom:ミーティングの内容から要約、アジェンダ作成
Evolving Zoom IQ, our AI smart companion, with new features and a collaboration with OpenAI https://blog.zoom.us/zoom-iq-smart-companion/
性能的にはChatGPTを大きく超えることは無いかもしれませんが、すでに社内で導入済みのツールでAIが活用できることによる、導入や浸透のスピードは計り知れません。
IBMのアービンド・クリシュナCEOは、今後数年で約7800人分の職が人工知能に置き換わる可能性があるとし、ここ最近、大きく業界全体がステップアップ、ギアチェンジした気がします。
IBM、7800人の職がAI置き換わりも 採用一時停止へ(ロイター報道)https://jp.reuters.com/article/ibm-jobs-idJPKBN2WS1LY
◆ChatGPTをUIUXデザインに生かすチートシート
Ultimate ChatGPT cheatsheet for UX UI Designers
https://uxplanet.org/ultimate-chatgpt-cheatsheet-for-ux-ui-designers-63c813fc859a
チートシートとは、コツやショートカットなどを集めた「早見表」のことです。さらに少々ズルをするための「カンニングペーパー」という意味合いもあります。
UX Planet の Shai 氏が提供するチートシートでは、UIデザイン、UXデザイン作業に活かせるChatGPTへのプロンプト例を完結に多数まとめてあります。
●ChatGPTを使ったUI設計のチェックリスト作成
●UXデザインのためのユーザーフローを作成する
●ChatGPTを使用したデザインシステムの生成
●ChatGPTでカラーパレットを生成する
●ユーザーインタビューの質問を用意する
●ChatGPTを使ったユーザーペルソナ構築
●ChatGPTを使ってウェブサイトの文言を書く(UXライティング)
●迷惑なクライアントへの文面を考える
◆Microsoft Designer 一般公開
https://designer.microsoft.com/
Microsoftの画像生成AI、Microsoft Designer がウェイティングリストで待つことなしに、Microsoft アカウントでログインすれば、誰でも利用できるようになりました。
OpenAIへの巨額の投資が話題になっている Microsoftは、既存のツールへのAIの組み込みの他にも、先進的なAIサービスを次々とリリースしてきています。一般的な OpenAI API の利用者よりも、先んじて最新のAPIを開発やテストに用いることのできるメリットなどを最大限に享受している印象です。
Microsoft Designer では、プロンプトを間違った時によくある生成AIでのヘンテコな画像は提示されず、画像素材としてすぐに使えるものが羅列されている印象です。一方、指定したプロンプトの特徴は捉えているものの、フォトストックの素材写真のような薄い印象を感じてしまうのも確かです。
一般的な生成AIのようにプロンプトに技巧を凝らさずとも、比較的少ないキーワードでもそこそこ良質な画像が提示されるのが使いやすい点でもあります
◆Midjourneyをブランドアイデンティティ作成に活用
How I used Midjourney to design a brand identity
https://uxdesign.cc/how-i-used-midjourney-to-design-a-brand-identity-394cf9ddaeed
Matty Brownell による記事では、ロゴやマークなどを主体とする、ブランドアイデンティティの構築に生成AI Midjourney を活用した事例が紹介されています。
スタイルを指定し、ロゴの特徴やカラーパレットを抽象化していくことで思い描いた雰囲気に導き、/blend ブレンド機能を使うことで、複数のパターンを生成し試していったとのこと。
◆OpenAI公式、Andrew Ng氏のプロンプト講座
ChatGPT Prompt Engineering for Developers
https://www.deeplearning.ai/short-courses/chatgpt-prompt-engineering-for-developers/
OpenAI が提供する ChatGPT プロンプトエンジニアリング講座です。
●アプリケーション開発のためのプロンプトエンジニアリングの最適解を学ぶ
●独自のカスタムチャットボットの構築方法など、LLMの新しい使い方を知る
●APIを使用して、プロンプトを自分で書き、反復練習するハンズオンを行う
無料で、かつおおよそ1時間程度で受講できるオンライン講座です。
◆優しい対応の会話AI「Pi」
ChatGPTは、どの言語でもとても流暢に言葉を操り回答してくれます。そこには人格や性格といったものはありませんが、かすかに真面目さや誠実さが感じられることもあります。また心配性や、説明したがりといった印象を受けることもあるかもしれません。
Inflection AI が提供する会話型パーソナルAI「Pi」は、優しさやサポート力といった人に寄り添う会話に注力したAIが研究開発されています。
●親切で協力的
●好奇心旺盛で謙虚
●創造的で楽しい
●あなたの背中を押すために働く
まだまだ会話系AIは進化の途中だと考えられますが、映画「her 世界でひとつの彼女」に出てくるAIのように魅力的な会話が展開される日もそう遠いことでは無いかもしれません。二股ならぬ642股をかけられるかもしれませんけど。
◆Googleの内部文書?ChatGPTは恐るるに足りず
AIの覇者が誰になるのか、しのぎを削っている状況で、Googleの内部文書が流出したと言われている文章をもとにした SemiAnalysis の記事を紹介します。
●オープンソースのAI が脅威。一人勝ちするのはオープンソースの大規模言語モデル
●Meta(旧Facebook) の大規模言語モデルLLaMAが意図せず流出したが、それによって様々な開発がなされた。結果的にMetaが勝者となった
●大規模言語モデルのパラメータ数の競争よりも、コストとのバランスが重要
●OpenAIは戦略を見誤っており、Googleはオープンソース戦略によって巻き返せる
◆UXライティングにChatGPTを活用(Via. KOTOBA UX)
海外のUXライティング関連の良記事が日本語で読めるオンラインメディア KOTOBA UX でも、最近ChatGPT関連の記事がいくつか紹介されていました。
ChatGPTプロンプト:UXライターとしてのChatGPT活用方法
https://www.kotobaux.com/blog/chatgpt-prompts-how-to-use-chatgpt-as-an-ux-writer
ChatGPTのUXライティングスキルはどの程度なのか?
https://www.kotobaux.com/blog/ux-writing-with-chatgpt-it-works
ゴールデンウィーク明けの今号は、AI関連ニュースを中心にお届けしました。ChatGPTに「5月病とは」と聞くと、「新年度が始まる4月から5月にかけて、学生や新入社員が新しい生活環境に慣れるのにストレスを感じることが原因で、疲労やモチベーションの低下を経験することです。」云々、なかなか説得力のあるわかりやすい回答をしてくれましたとさ。
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